前年度の点検・評価項目
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●1.授業の方針や授業計画と実際の授業の内容及び授業目標の達成度
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理想論にとどまらず、内外の複雑な現実を直視するための客観的な知識と多角的な分析を重視する~との方針および授業計画をシラバスに明記した。内外の大ニュースを受け順序を若干修正することはあったが、最終的にすべて教授した。ロシア・ウクライナ紛争を授業に反映させる方針は、プーチン政権やウクライナ史についての専門書・概説書の精読、内外のニュース記事、報道番組のフォローに膨大な時間を充て準備した。日本の対応では国連憲章、日本国憲法が重要になるため、教育用に研究した。学生用に裏表1枚のレジュメ「ロシアの侵略、抵抗するウクライナ」(要約版)に集約し適宜修正した。学生の質問にできる限り答えた。授業には現地での体験や当時の写真をまじえた。学生は強い関心を示してくれた。
ウクライナ問題への私の見解は、広島で主流の「公的言論」の一部と一致しない部分があったが、昨年9月出版の井上達夫・東大教授(法哲学)の『ウクライナ戦争と向き合う』の主張と重なっていた。多くの主流派国際政治学者の見解とも一致した。2022年度の授業で当初から教授した見解や分析は、適切な内容だったと考える。
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●2.(1)教育内容・方法の工夫
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大幅に改善した。教育方法については、学生が授業終了後に毎回、自宅で期限までにMoodleに入力する「課題」の目的や使用法を工夫した。「課題」は、①授業や資料中の重要語句(英語を含む)を自ら選び(例えば10個以上、20個以上など)書き出すことを「必須」とし、②感想や考察、質問は基本的に「任意」とした。以前は①で、授業の感想や学んだことを数行記述させていた。しかしこの方法では、おざなりな文を書いて提出する学生も少なくなかった。講義に集中せず、資料に目を通さなくても書けてしまう。
新たな方法はコロナ中も徐々に始めていたが、前年度前期から本格的に定着させた。熱心な学生は英語を含め30個、50個と書いてくる。間違いがあればメールを返信して指摘した。語句だけではなく文章や、教員の発言を書いてくる学生も。この方式にして学生が以前よりもレジュメをしっかり読むようになった。
主に後期から、①授業中のレジュメを配布ではなくスクリーンに映写する方式に、②学生が毎回の課題で任意に記述した質問や感想・考察を原則としてすべて次回の授業で映写し、時間の許す限り質問に答えコメントする手法に~という変更を行った。①は前期に授業参観してくださった西村仁志先生(6月16日)の助言がきっかけ。印刷の手間が省けるのに加え、字数等、印刷のためのさまざまな制約から自由になり、レジュメが見やすくなった。
成績評価の基準は、記者・編集者の実務経験に基づき、レポートを含む文章の具体的な評価基準とともに、詳しく説明した。
教育方法ではなく内容の工夫については、ロシア・ウクライナ紛争の研究・ファローやメディア取材経験の活用など「目標・課題」の項で記したことと重なる。
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●4.学生による本学の授業評価アンケート(独自のものでも可)の実施、分析、結果の活用状況
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大学の授業評価アンケートを読んだ。問題点としては、前期メディア論の教室を教務課にお願いして広い教室に変更してもらった際、ダブルブッキングになり、7号館に移動した。このとき自己責任の意識が薄く「まあこういうこともありますよ」と冗談を言った。「誤らないのは不誠実」と書いてきた学生がいて驚いた。私の感覚ではよくわからない怒りだったが、ほかにも気に入らないことがあったのかもしれない。すべて教員の責任と言われれば確かにそうである。こういう受け止め方をする学生にも配慮して言葉を選ぶ必要があると反省した。
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●5.公開授業の実施状況
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すべての講義科目について無期限で公開した。メディア論を西村仁志先生が参観してくださり、「授業内容・方法の工夫」で記したように、活用した。
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●7.学生からの勉学(単位僅少学生への対応など)、生活、進路・就職などの相談への対応
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できる限りの対応をした。すでに記したロシア人学生への配慮のほか、単位僅少学生とは相手が応じてくれる限り真摯に対応したつもりだ。ゼミ生、基礎演習生はもちろん、講義科目の学生で勉強法、留学、将来の進路を相談してくる学生にもできる限り対応した。メキシコ国費留学の学生、オーストラリアや韓国への留学生の相談に乗り助言した。留学後もたまに連絡をもらった。就職については、就活の実態や「実務」の実際について折に触れさまざまな授業で話した。
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●9.学生の課外活動に対する支援(本学のサークルの部長・顧問としての活動)
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放送研究会の顧問として、部長と定期的に連絡を取り、安全、ハラスメント、金銭などでのトラブルに注意し学生課の職員と意思疎通をはかるように指導した。
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