ヤマオ リョウ
YAMAO Ryo 山尾 涼 所属 広島修道大学 人文学部 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2007/10 |
形態種別 | 学術論文 |
査読 | 査読有り |
標題 | 欲望される死への行程『巣穴』―挫折する「脱領域化」の試み |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 『ドイツ文学研究』(日本独文学会東海支部) |
掲載区分 | 国内 |
巻・号・頁 | (39),63-76頁 |
頁数 | 14 |
概要 | ドゥルーズ/ガタリは、カフカの物語解釈にエディプス・コンプレクックスの理論を応用し、父―母―子の抑圧的な三角関係が資本主義社会や官僚体制など様々な場面に見いだされるとした。彼らの指摘によると、『巣穴』の主人公はカフカ自身のエディプス的な領域からの脱出の試みと解釈されるが、しかし主人公は外敵―巣穴―自分自身といういわばエディプス的構造に再領域化されて破滅している。本論はその原因を、超越的で不可視な非自我に、自らの超自我/罰を下す父を代入させたことに原因づける。主人公の望んだ外敵のいない「完全な静けさ」とは、エディプスの1項(外敵)を排除し、残る2項(巣穴と自分)とで融合しようとする願望に繋がり、それは緩慢な精神的な死へと至る行程といえる。したがって本作品におけるカフカの脱エディプスの試みは挫折している。 |