ハセガワ ナオヒロ   HASEGAWA Naohiro
  長谷川 尚弘
   所属   広島修道大学  人間環境学部
   職種   助教
発表年月日 2025/06/07
発表テーマ 松島湾カキ養殖場に大量発生したシロボヤの侵入経路の推定
会議名 日本動物分類学会第60回大会
主催者 藤田敏彦、小松浩典、奥村賢一、吉川夏彦、太田藍乃、小林元樹、小川晟人
学会区分 全国学会
発表形式 ポスター
単独共同区分 単独
開催地名 国立科学博物館筑波研究施設
発表者・共同発表者 長谷川尚弘
概要 2025年7月頃から,宮城県松島湾のカキ養殖場において,ホヤ類の一種とみられる個体が養殖用ロープに大量に付着し,カキの生産活動に支障をきたす事例が発生した.宮城県水産技術総合センターからの同定依頼を受けたため,本種を簡便に形態観察したところStyela plicata (Lesueur, 1823) (和名:シロボヤ)と同定された.シロボヤは温暖な海に生息するホヤである.しかし,今回,シロボヤが大量発生した松島湾は親潮の影響を受ける冷水域であり,水産技術総合センターからの情報では,これまで松島湾で本種の記録はなかった.そこで,松島湾のシロボヤがどこから侵入してきたのかを検討するために研究を進めている.まず,松島湾産シロボヤ5個体と折戸湾産シロボヤ8個体からDNAを抽出した.次に,ミトコンドリアDNAのチトクロームcオキシダーゼ・サブユニットI (COI) の部分配列 (約810 bp) を増幅し,サンガー法で配列を決定した.得られた配列とデータベース上の既報配列を加えて集団遺伝学的解析を進めている.今後は国内他地域からのサンプリングを進め,より広範な集団遺伝学的解析を行うことで,松島湾におけるシロボヤの侵入経路や分布拡大のメカニズムを明らかにする予定である.あわせて,今後日本各地で海域調査等を行う機会があれば,ぜひシロボヤを採集の上,演者まで送付いただけると幸いである.得られた試料を基に,より精緻な分布状況の把握と系統解析を進めたい.