ニッタ ユミコ   NITTA Yumiko
  新田 由美子
   所属   広島修道大学  健康科学部
   職種   教授
発表年月日 2023/10/15
発表テーマ 必須微量元素マンガン(Mn)の環境フローを定量する
会議名 日本栄養・食糧学会吸収・沖縄支部大会
主催者 日本栄養・食糧学会吸収・沖縄支部
学会区分 地方学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 共同
開催地名 大分市
発表者・共同発表者 新田由美子 渡邉雄一
概要 Mnを、ヒトは食物から摂取する。ヒトをとりまく環境中のMnは地質に起因し、Mn鉱排水の飲料水への混入が健康問題を起こす場合がある。また、サプリメントとして大量摂取した場合や塗装工場労働中に過剰曝露した場合、ヒトはパーキンソン病様の中毒症状を呈することから、Mnが血液脳関門を突破し神経変性性疾患を起こす機構の解明が重要な研究課題となっている。本発表では、Mn鉱廃坑を有する里地里山環境において、環境構成要素中のMn濃度を数値化することで、ヒトへの環境中Mnの健康影響評価に寄与することを目的とする。
① 対象地域として岩国市の里地里山を選定した。花崗岩を基盤岩とし、多数のMn鉱廃坑のあることを理由とした。②里山の天然水と野生シダ植物、里地の天然水と真砂土、里地の圃場土壌と栽培植物および里地里山を生息地とする野生哺乳動物(イノシシとタヌキ)を検体とした。③Mn濃度を原子吸光分析法、ICP発光分析法と可視光分光光度法で測定した。④環境から生物へ移行するMnの濃度を生物濃縮係数(CF)へと変換して標準化し、検体間の比較に用いることとした。⑤対照地域として、花崗岩を基盤岩とするが鉱山のない広島市の里地里山を選んだ。岩国市と広島市の里山を比較した。岩国市のMn濃度は、真砂土で広島市より高く、天然水で広島市と同程度であった。②野生植物のMn含有量は、濃度で両市間に差がなく、濃縮係数で岩国市が小さかった。岩国市のCd濃度が、真砂土でMn濃度と相関し、野生植物において広島市より高かった。岩国市の野生哺乳動物腎は、Mn濃度を一定の範囲に維持したがCdを濃縮し、イノシシとタヌキでそれぞれ10.8と28.1のCFを示した。タヌキのCd濃縮は年齢依存性であった。
researchmap用URL https://www.jsnfs.or.jp/event/event_20231014.html