クロトビ トモカ   KUROTOBI Tomoka
  黒飛 知香
   所属   広島修道大学  健康科学部
   職種   准教授
発表年月日 2025/08/29
発表テーマ トロミ付与水溶液の力学的特性に関する測定法の比較―TPA試験とSBE法を用いてー
会議名 日本食品科学工学会2025年度大会
主催者 日本食品科学工学会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 共同
開催地名 日本大学藤沢キャンパス
発表者・共同発表者 ◯黒飛知香、干野隆芳、矢守麻奈
概要 本研究では,トロミ付与水溶液の誤嚥などに大きく影響する力学的特性について官能評価および機器分析(Texture profile analysis(TPA試験)とShort back extrusion method(SBE法)による比較を行った.さらに,人のテクスチャー知覚(官能評価)に対応する有用な測定法および力学的特性について検討した.トロミ調整食品は,主原料の異なる4種類を用い,キサンタンガム系Aの各とろみ区分の添加濃度の飲み込みやすさと相関が高かったずり速度11.6 [s⁻¹]時の粘度を基準とし,その他の3種(B・C・D)の添加濃度をそれぞれ算出して調製した(12試料).官能評価は,かたさ,飲み込みやすさ,べたつき(口腔内・喉の残留感)の4項目をラインスケールで評価した(品温20℃).機器分析は,TPA試験(20℃)およびSBE法(20℃・24.8℃)を行った.官能評価結果からは,全ての項目において試料間で有意差(p<0.001)が認められた.官能評価値と力学的特性値の相関係数からは,いずれの官能特性もSBE法で得られる異なる温度・ずり速度下における見かけ粘度と高い相関が認められた.一方,TPA試験の「かたさ」,「付着性」はそれぞれ官能特性の「かたさ」,「べたつき」と相関が高かったものの,「凝集性」は「飲み込みやすさ」と良好な相関は得られなかった.これは,TPA試験が一般的に均質な固形物の咀嚼視点の手法であるため,実際の喫食状態や口腔内における食塊などの挙動に伴うテクスチャー特性を捉えていないことが示唆された.また,固体と液体状の食品では喫食時の状態(舌や歯の動き)なども大きく異なる.以上より,液状のトロミ付与水溶液では,TPA試験より喫食状態を反映した測定が可能なSBE法が望ましいと考えられた.