カヤシタ アツコ   KAYASHITA Atsuko
  栢下 淳子
   所属   広島修道大学  健康科学部
   職種   教授
発表年月日 2018/01/13
発表テーマ 多職種による認知機能維持向上の取り組みについて(コーヒータイムの実施)
会議名 第21回日本病態栄養学会学術集会
主催者 日本病態栄養学会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 単独
開催地名 京都市
発表者・共同発表者 〇栢下淳子 坂本佐智子 前田春香 坂田 司
概要 【目的】
当院は平均在院日数8.7日の急性期病院である。救急入院患者の約30%は循環器科であり、次いで脳神経外科と続く。入院患者は高齢化が進み、発症や入院を機に認知症状が見られ行動・心理症状や意思疎通の困難な場合もある。そこで脳神経外科病棟では、認知機能の悪化を予防し、認知機能維持向上を目的として看護師による回想法を取り入れその時に管理栄養士がコーヒータイムを実施しているので報告する。
【方法】
平成28年5月よりコーヒータイムは週1回実施。対象は、経口摂取が可能で病院食が提供されており車椅子で移動ができる患者。1回の人数は平均5名。前日までに対象者とメニューの連絡が栄養課へくる。提供メニューは、コーヒー、紅茶、ジュース、ゼリーなど喫茶店のようなメニューを挙げ、必要があれば嚥下や咀嚼などの物性調整を行う。回想法全体としての所要時間は約30分間、コーヒータイムは15分である。ドリップコーヒーは香りで覚醒を促すためにその場で煎れている。
【結果】
平成28年5月~29年7月までの実施患者は延べ229名。オーダーされたメニューは、コーヒー、カルピス、100%オレンジジュース、100%リンゴジュース、オロナミンCの順であった。(とろみ付を含む)
【考察】
回想法は認知機能の改善に有用であるという報告は精神科施設、介護福祉施設では多くあるが、急性期病院での取り組みはまだ少ない。回想法の最中にコーヒーを煎れることで患者やスタッフに予想以上の「薫りの覚醒や癒し」を与えることができている。これらは、日常では自然と行われていることであり何も特別なことはないように思われるが、「昔語り」をするそのことが意味があると考えられている。急性期病院の早期に経験することでその後の認知機能に良い効果をもたらすことを期待したい。