クロトビ トモカ   KUROTOBI Tomoka
  黒飛 知香
   所属   広島修道大学  健康科学部
   職種   准教授
発表年月日 2023/09/09
発表テーマ 中国・四国支部の多様な調理法と家庭料理の伝承に関する実験 ―広島菜を用いた乳酸発酵漬物の簡易・時短試作法の検討―
会議名 日本調理科学会2023年度大会(特別研究)
主催者 日本調理科学会
学会区分 全国学会
発表形式 ポスター
単独共同区分 単独
開催地名 県立広島大学
発表者・共同発表者 黒飛知香,多山賢二,岡本洋子
概要 本研究では家庭で簡便かつ短期間で腐敗しにくく日持ちする乳酸発酵漬物を調製できる方法について検討した。乳酸菌の供給源は,市販品の糠床5種類(A社~E社)を用いた。糠床の最大添加量は,初発の広島菜重量の4 %とした。まず,広島菜を菜重量の2倍の食塩水溶液に3日間浸漬した(下漬け)。その後,菜に糠床,少量の食塩・昆布・唐辛子を加え,一定温度で静置し,酸味を感じた時点を発酵終了(本漬け)とした。漬物の発酵条件は,20℃(重石なし)を「簡易・時短法(S法)」,10℃(重石あり)を「従来法(L法)」の2条件とした。評価は,官能評価および理化学分析,破断測定,菌数測定を行った。
【結果】まず,L法(18日間発酵後)にて酸味を有していた4種を呈味傾向から2群に分け,各群から1種ずつ選抜した。S法は,選抜した2種で4日間発酵後にいずれも酸味を呈した。糠床2種(L法,S法)の菜からの溶出液の分析結果は,1例を除きpH 4.0~4.3,酸度0.5~0.6%,乳酸菌数106 ~107 CFU/mLレベルであり,菜中の食塩含量は2.5~3.5%であった。茎部分の破断測定では,凍結保存によってS法とL法の有意差が消失した。保存後の官能評価(2点嗜好法)からは,B社の試作品において味,物性,総合評価でS法とL法に有意差が認められなかった。以上より,B社の糠床を用いたS法が従来法を想定したL法と同程度の広島菜漬けを調製することが可能であることを示すことができた。