カシワギ シンイチ   KASHIWAGI Shinichi
  柏木 信一
   所属   広島修道大学  商学部
   職種   教授
発表年月日 2020/08/21
発表テーマ 商学と消費経済論の核心・本質とは何か
会議名 日本消費経済学会 第45回全国大会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 単独
概要 本報告は、商学と消費経済論に共通する本質、特に消費経済論の本質を特に問うものである。既存の理論(新古典派経済学のモデル)に基づく経済分析や、マーケティング資料のための消費分析は数多い。これに関し、小谷正守(1982)『現代消費経済の基礎理論』は、それらの消費研究は消費経済論の核心に迫れなかったと提起していた。その理由は、諸研究は企業・行政の諸手段実行のための一資料や労働運動封じに用いられており、真に消費生活者のためでなかったこと、すなわち「目的転移(目的逸脱)」があったためである。「商」に参加する目的は、営利事業者にとっては価値(交換価値・剰余価値)の実現、非営利事業者の場合は公益の実現であるが、消費生活者にとっては人間としての「生命力の再生産」である。明らかに、事業者と消費生活者とでは目的を異にする。「価値の実現=消費者利益実現」であるとは限らない。
残念ながら、商学も消費経済論も、日本の経済・社会・文化的事情、及び取引事情に即した上で、核心と本質を土台に据えた体系は未だない。この提示は、残された課題である。