スギウラ ヨリコ
SUGIURA Yoriko 杉浦 順子 所属 広島修道大学 商学部 職種 教授 |
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発表年月日 | 2021/10/31 |
発表テーマ | Les prix littéraires, de quelle(s) autorité(s) témoignent-ils? |
会議名 | 日本フランス語・フランス文学会2021年度秋季全国大会 |
主催者 | 日本フランス語・フランス文学会(中国・四国支部) |
学会区分 | 全国学会 |
発表形式 | シンポジウム・ワークショップ パネル(公募) |
単独共同区分 | 単独 |
開催地名 | オンライン |
概要 | 本発表は、«Témoignage(s) de littérature » (「文学が証言するもの」)と題して行われた日仏研究者の合同ワークショップにおいて、フランス語で行われた。いまやフランスで2000以上を数えるまでになった文学賞の権威は低下し、恒常的に出版過多にある作品群を分類するラベル的な存在になっている。本発表では、それらの文学賞から、フランスで最も権威ある文学賞とされているゴンクール賞を取り上げ、その初期30年間を対象に、小説というジャンルの隆盛に伴って生まれた小説のための文学賞であるゴンクール賞が、期待されていた文学作品の審判機能を十分果たせていなかったにも関わらず成功してきた理由を、経済的理由とは別の観点から論じている。初期のゴンクール賞は、まず、ながきに渡り演劇や、弁論術、詩作品よりも下位に位置づけられてきた「小説ジャンル」そのものに権威を与え、文学の中心ジャンルとして承認されるための地位向上に貢献してきたと言える。同時に、文学賞は小説ジャンル内において、芸術的な作品と安易に出回る大衆小説との線引を可能にし、ジャンル内でのヒエラルキー形成も担ってきた。最後に、文学賞はその選考過程をメディア化することで、数ある中から「限られた作品を選出する」という権威的ともいえる審判行為を大衆化することにも一役かってきたと言えるだろう。 |