タケイ ミツコ
TAKEI Mitsuko 竹井 光子 所属 広島修道大学 国際コミュニティ学部 職種 教授 |
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発表年月日 | 2023/03/16 |
発表テーマ | 会話における発話タイプからみる「共通語としての日本語」話者の言語調整 |
会議名 | 2023 AATJ (American Association of Teachers of Japanese) Annual Spring Conference |
主催者 | American Association of Teachers of Japanese |
学会区分 | 国際学会 |
発表形式 | シンポジウム・ワークショップ パネル(公募) |
単独共同区分 | 単独 |
開催地名 | ボストン |
発表者・共同発表者 | 竹井光子 |
概要 | Panel Title: *Panel Chair
第一・第二言語話者による「共通語としての日本語」における言語調整の場面別考察 Situation-based analyses of L1 and L2 speakers’ linguistic adjustment in “Japanese as a lingua franca” 本パネルの目的は、「共通語としての日本語 (Japanese as a lingua franca: JLF)」によるインターアクションにおける相互理解のための言語調整行動について、日米の大学生によるオンライン会話データをもとに、量的かつ質的に検証し考察を深めることである。分析対象データは、日本の1大学と米国の2大学が連携して2020年と2021年に実施した「日米大学オンライン会話プロジェクト」において、第一言語話者(L1)場面、第二言語話者(L2)場面、第一・第二言語話者(L1-L2)場面の3つの場面を設定して収集した課題遂行型会話(25グループ分)である。本パネルにおいては、これら3つの場面を比較することに加え、そこに関わるL1、L2話者の場面別の言語行動の特徴や傾向に着目することとする。具体的には、構造的発話タイプ、疑問表現、相手発話の繰り返しを分析のポイントとし、それらが共同会話構築にどう寄与しているかを探る。 ここ数年のコロナ禍における移動困難な状況の中では、オンライン交流授業・イベントの形態でL1、L2話者がJLFで接触・交流する機会が増えてきた。本パネルでは、多様性を尊重するJLFの理念にもとづき、さまざまなレベルのL2話者や接触体験歴が異なるL1話者が関わっているという本分析対象データの特徴を踏まえながら論じる。さらに、対面型のJLF場面の分析経験を有するディスカッサントを加え、JLF場面のインターアクションを観察することの意義や課題について議論する。 Panel Paper1: 会話における発話タイプからみる「共通語としての日本語」話者の言語調整 “Japanese as a lingua franca” speakers’ linguistic adjustment in utterance types 日本語会話において、話者の相互作用の中に現れる発話の単位には、完全文発話、中途終了文発話、あいづち的発話などの構造的な分類があるが、中途終了文(言いさし文)やあいづち等、特定の発話タイプの形態や機能に焦点を当てた先行研究(高木 2012,大塚 2014 他)が多くみられる。本研究では、第一言語話者 (L1) 場面(4グループ)、第二言語話者 (L2) 場面(13グループ)、第一・第二言語話者 (L1-L2) 場面(8グループ)の会話における発話タイプの使用傾向に着目し、それらの発話タイプが会話の相互作用および相互理解のための調整行動にどう関与しているかを検証することを目的とする。 本発表では、まず「日米大学オンライン会話プロジェクト」の概要と宇佐美 (2019) にならい発話分割した会話データの詳細を説明する。次に、5つの構造的発話タイプ(完全文発話、中途終了文発話、倒置文発話、あいづち的発話、一語発話)のコーディングを行った結果として、場面別、話者別の傾向を示す。例えば、完全文発話の発話全体に対する割合は、L2場面、L1-L2 場面、L1場面の順に高いことがわかった。また、L1話者12名の場面別比較では、L1-L2場面において完全文発話の割合がL1場面より上がること、L2話者21名の比較では、L1-L2場面において完全文発話の割合がL2場面より下がるという結果となった。その中で個人差もみられた。L1-L2場面における完全文発話の増減が何を意味するのか、その増減がどの発話タイプに影響しているのかを、L1話者・L2話者双方の調整行動という観点から議論を展開する。 |